意識的にも技術的にも、量産できない家づくり – KENCHIKU MASAHIDE
金沢市:S邸
見えないところこそ技量や心意気が問われる
「何よりもお客様のために取り組みます」。住宅会社の営業マンがそう語るのを聞いて、「ノルマ達成のためのマニュアル通りなセールストーク」と感じたとしたら、いつから素直に受け取れなくなってしまったのだろう。
近代以前の家づくりは、活動エリアが近隣に限られていた。知人や親類が施主となることも多かっただろう。だから、「この人のために」という心意気や「中途半端な仕事は恥」というプロとしてのプライドが、ビジネスの成功よりも施主に尽くすという考え方を優先させていたのではないだろうか。
現代でも、そんな地域密着を大切にする建築会社が少なからず存在する。たとえば、鶴来を中心に展開する建築昌英。安易に自社のキャパシティを超えた施工棟数は受けず、一邸に全力で挑むタイプの職人集団である。

大工さんによる墨付けや継手(つぎて)・仕口(しくち)の跡が残っていた。
実際に、伝統的な木組みの構造や手仕事による仕上げは、技術的にも量産が難しい丁寧で労力を要する手法だ。「デザインや性能が優れているのは当たり前。それ以外にも、お施主様の理想は無限にあります。最後は利益なんかより、絶対に喜んでいただきたいという思いが強くなりますね」と話すのは松村代表。
同社の真摯なスタンスは、家づくりに限らない活動からも垣間見える。たとえば、地域への貢献。素晴らしい自然や街並みを壊すことなく美しい景観づくりとして建築に取り組み、またイベントの立ち上げや、自社オフィスを空き店舗に移転するなど地域全体の活性化も模索している。
写真1 写真2
写真2) 2階部分を吹き抜けにして、採光のハイサイド窓を設定。見違えるほど開放的で明るい。
大がかりなリノベーションで生まれ変わったS邸をご紹介しよう。同社のリフォーム内見会に訪れて雰囲気や素材、デザインが気に入ったことが決め手になったとか。話し合いを重ねるうちに、施主と業者という関係性を超えた信頼が生まれ、任せるべきところはプロに任せた。
「構造などお施主様に見えない所とか、巾木や窓枠といったディテールにこそ技量が問われる」という同社だけに、期待を裏切らない一邸が仕上がってSさんも満足しているそうだ。



DATA
敷地面積 | 264.46㎡(80.00坪) |
延床面積 | 148.00㎡(44.77坪) |
1階床面積 | 100.00㎡(30.25坪) |
2階床面積 | 48.00㎡(14.52坪) |
◎工法/木造軸組工法◎基礎/布基礎◎断熱材/高性能グラスウール◎屋根材/瓦◎外装材/吹付塗装◎内装材/クロス、板張り◎床材/無垢フローリング(オーク材)◎開口部/アルミ樹脂複合サッシ◎キッチン/システムキッチン◎バスルーム/ユニットバス◎竣工年月/2020年5月◎工期/約7ヶ月◎家族構成/親類+ご夫婦+お子様1人 |
(株)建築昌英
会社名 | (株)建築昌英 |
住所 | 〒920-2127 石川県白山市鶴来上東町カ45 |
電話番号 | 076-256-2747 |
URL | http://kentiku-masahide.jp |