21世紀が次代に伝えたい「古民家」のカタチ – TAKATA KENCHIKU
金沢市:I邸

あえて「作品」と呼びたくなる古き良きアートな家
住まいを、「作品」と呼んでいる広告や記事などをよく目にする。間違いではないのだろうが、安易に表現することは要注意だと思う。そこは、住む人の人生を創造するステージになり、将来にわたって掛け替えのない故郷にもなる。業者が仕上げて完成、という量産型の製造物とは一線を画すのだ。
でも、思わず作品と呼びたくなる住まいが存在するのも、また事実である。日本の古き良き古民家空間を提案する「樂家樂座」。石川県に誕生して約12年、この数年は、地元をはじめとする作家とコラボした「ウルトラアートの家」や、ハワイアン、アメリカン、ヨーロピアンといった異文化ミックスなど、従来の古民家空間にとらわれない自由な発想で新しいスタイルを誕生させている。
もしも住まいを、ライフスタイルやセンスを描くキャンバスとか、思い出を記録するメディアと考えるなら。あるいは、家づくりを人生最大のイベントとして楽しみたいなら。単なる無機質な箱ではなく、作品づくりとして取り組んでみるのも悪くないだろう。


ここにご紹介するI邸も、そんな遊び心と芸術性、伝統建築の様式と手仕事に富み、また構造材からディテールの仕上げに至るまでエピソードに彩られた一棟となった。





球体の水引照明(蔵本由野氏)や地元の海と船をモチーフにした手洗い鉢(香田昌恵氏)、漆塗りの便器ふた(山中漆器作家・山谷尚敏氏)で演出したトイレ空間。水引照明は、ワイヤーなどの型を使わずに帯紐のみで編み込んだ。同社による作家泣かせ(笑)の手間と技術を要する仕事依頼。





DATA
敷地面積 | 217.80㎡(65.88坪) |
延床面積 | 118.41㎡(35.81坪) |
1階床面積 | 77.01㎡(23.29坪) |
2階床面積 | 41.40㎡(12.52坪) |
◎工法/木造軸組工法◎基礎/ベタ基礎◎断熱材/ロックウール◎屋根材/小松瓦◎外装材/リシン吹付、板張り◎内装材/自然土壁◎床材/無垢フローリング(クリ材)◎開口部/複合サッシ◎キッチン/システムキッチン◎バスルーム/ユニットバス◎竣工年月/2020年4月◎工期/約6ヶ月◎家族構成/ご夫婦 |
(株)TAKATA建築
会社名 | (株)TAKATA建築 |
住所 | 〒921-8163 石川県金沢市横川4-180 |
電話番号 | 076-243-0151 |
URL | www.takataworks.com |